アクアリウムを楽しもう
目次
- 無重力の世界
- 魚は可愛い
- ムードメーカーである植物
- 刻まれる時間
- ルールがあるからこその自由
1.無重力の世界
水槽を眺める楽しさは、冒険する楽しさと似ていると思います。
水が空間を満たすことで、縦横無尽に魚が泳ぎ、光が拡散し、気泡が踊ります。
そこにはファンタジーがあって、水槽を見る人全員に、想像する自由と発見する驚きを与えてくれます。
赤い水草の森を泳ぐ魚…
彼は何を思って水草の合間を通り抜けていくのでしょうか?
魚の視点に立つことで、私たちは非日常的な冒険を体感することが出来ます。
子供の頃に憧れるような秘密基地やジャングルでの探検、そういった憧れを疑似的に叶えてくれるのもアクアリウムの醍醐味の一つだと思います。
2.魚は可愛い
水中性シダ植物の上に止まったドジョウの仲間の写真です。
魚顔と言うと一般的に良いイメージで使われないかもしれませんが、実際に拡大して見てみると案外可愛いと思います。
大きな目と口が目立つシンプルな顔つきですね。
哺乳類よりも魚や爬虫類の方が愛着が湧くという人も、世の中には何割かいるように感じます。
私自身、動物園よりも水族館が好きで、魚を見ながら可愛いと言っているような子供でした。
「なぜ魚を飼育するのか?」という疑問に対する一つの答えが、「魚は可愛いから。」だと思います。
3.ムードメーカーである植物
水槽の水草が生え揃う前と後の写真です。
写真の撮れ方や水の透明度の影響もかなり受けていると思いますが、2枚目の方が植物が元気に生え揃っていて、水槽内が輝いて見えると思います。
風景写真を見て季節を判断するのに、多くの人は無意識のうちに植物の状態を見るはずです。
人が植物から受け取る印象はとても大きく、水草の状態が変わるだけで同じ水槽でも全く違って見えてきます。
この変化の大きさ、移り変わっていくものをいかに理想に近づけるかというところが、水草レイアウトを頑張ってメンテナンスするモチベーションの一つになっていると思います。
4.素材で表現する時間
アクアリウムで使われるレイアウト素材の多くは石と流木です。
この素材を使って遠近感やストーリーや舞台設定を作り込んでいきます。
先ほどの写真のレイアウトだと、実は遠近感もストーリーも何も考えられていないのですが、流木の質感などが年代感を多少演出してくれたかと思います。
また、下記の写真のレイアウトでは、
- 各石材が元々一つのものであり、地殻変動によって隆起した。
- 地殻変動の際に断層が生じ、奥から手前に地層が突き出した。
ことを演出するようにしました。
この中央の石が寝そべって倒れるだけで連続感が損なわれ、平面的で不調和な景観になってしまうかと思います。
流木という素材は、何十年もかけて成長した樹木が海に流され腐敗し、硬い芯や繊維が残ったものです。
石材も同様に、地質の堆積や溶岩の噴火、海底からの隆起や風雨による浸食など、様々な歴史を宿しています。
そのような素材を使うことで、人工的な水槽という環境にも時間の広がりを与え、組み合わせ方次第で調和を目指すことが出来ます。
5.ルールがあるからこその自由
今まで載せてきた写真は、ネイチャーアクアリウムと呼ばれるスタイルのレイアウトです。
水換えと植物の浄化能力でコケを抑制し、強い照明と二酸化炭素の添加によって光合成を促進します。
次の写真は、魚を綺麗に飼育することのみを目的として制作した水槽です。
どのようなやり方でアクアリウムを楽しめばよいのか?
なぜそのような機材を使用し、なぜそのような世話をしているのか?
せっかくの趣味なのに、右も左も分からず人に指図されるのは不愉快でしょう。
- 「やりたかったこと」と「その為にしなきゃいけないこと」と「出来る範囲のこと」の区別が付き、実際に何を実行するのかを自分で選ぶことが出来る。
- 分からない時は何が分からないのかを自分で判断し、自分で調べて考えて試行錯誤することが出来る。
この2つを目標として、このあとの記事を作成したいと思います。
アクアリウムはクリエイティブな趣味です。
一方で、いつも目の前には生命があり、残酷なほど現実的な趣味でもあります。
非現実的なアイデアに全力で取り組むことは出来ませんが(どうせ無理だと自分で薄々気づいてしまうので)、現実的なアイデアであれば成功を心から信じて努力することが出来ます。
趣味なので別に頑張ることを強要したいわけではないのですが、
- 自分で思考し、工夫する自由
- 課題を正しく認識し、挑戦する自由
- 憧れを叶える自由
を大事にしたいと思っております。