アピストグラマとは?

アピストグラマは南米に住むドワーフシクリッドの仲間です。

シクリッドは大きい種から小さい種までさまざまで、アイスポッドシクリッドなどの大型魚、オスカーなどの中型魚、そしてアピストグラマなどの小型魚がいます。

僕の中でのシクリッドのイメージは、縄張り意識が強い、子育てする、顔がでかくて三角形の3つです。

しかし、体形や性格、生活様式は様々です。

流れの緩やかな水底でゆっくと暮らしている種類や、ハゼみたいな種類、泳ぎが得意な種類などいろいろなものがいます。

アピストグラマは水底でゆっくりと暮らすタイプで、縄張り意識が強くメスが稚魚や卵を保護します。体形や色彩、性格は種によって様々です。

種類と好み

アピストグラマの体形はざっくり分けると、細身系と体高の出るタイプの2つに分かれます。

また、背びれの形状はギザる系とギザらない系に分かれます。

細身体高有り
ギザるビタエニアータ,
エリザべサエ, etc.
トリファスキアータ,
カカトゥオイデス, etc.
ギザらないロートカイル,
メンデジィ, etc.
ボレリー,
ヴィエジタ, etc

個体選びについて

同じ種類や産地でも個体差が強く出ます。

個体差の中でも配色パターンは先天的な要素が強く、体形や性格は後天的な要素が強いです。

例えば、アガシジィの尾ビレにはオレンジが入るタイプと入らないタイプがありますが、オレンジの入らないタイプをいくら状態良く育ててもオレンジの発色は出てきません。

若いアピストを選ぶ時は、色が濃いかどうかではなく色素を持っているかどうかで判断してみるといいと思います。

また、こう書いてしまうと色を持っている個体をお勧めしているように見えてしまうかもしれませんが、色白の個体もお勧めします。

アピストは成魚になり状態が良いと青白い光沢が出てきます。

色素の多い個体だと、その光沢が色に埋もれてしまうのです。

数か月間状態良く育てることが出来れば、黄色かった部分はオレンジに、オレンジは赤に、白は青白い光沢に変わっていくかもしれません。

逆に、買ってきたときは赤かったのに家の水槽に入れていたらオレンジになってしまったなんてこともよくあることで、それがアピスト飼育の醍醐味の一つだと思います。

綺麗に育てるために必要なもの

アピストの色は気分によっても簡単に変化してしまうほど不安定なもので、飼育環境が悪いとヒレが少し尖っただけの肌色の魚になってしまいます。

逆に清浄で変化の少ない環境で育ててあげると、感動するほど美しくなってくれます。

アピスト飼育を楽しむことにおいて「育てる」ことはとても重要になります。

そこで重要になるのが、どれだけその個体に「時間・労力・場所を捧げる」ことができるのかです。

綺麗なアピストを飼育したいけど、今飼っている個体は自分が満足できるような姿を見せてくれない。

そんなときは、他の種類のアピストも買いたくなると思います。

アピストは縄張りを持つ魚なので、一つの水槽の中で一番威張っている個体だけしか本領を発揮することが出来ませんし、せっかく長く伸びた背ビレが喧嘩で噛み切られることもよくあります。

個体数が増えると当然ながら「時間・労力・場所」 は割かれていきます。

僕たちが選ぶことのできる選択肢は水槽を増やすか個体数を減らすかです。

全種類のアピストを飼育できるスペースを持っている人なんてのはほとんど居ないと思いますので、飼育する種類を絞っていくことが多かれ少なかれ必要です。

自分がそのアピストの魅力を最大まで引き出せる飼育をしたとき、どんなアピストなら自分が満足できているのか「自分の好みを知る」ことが出来ていないと、育成の途中で他の種類に浮気してしまいますね。

この記事で書いた「種類選び」・「個体選び」がその参考になるといいなと思います。

インスタなどで綺麗な写真を見たりして大きな期待を抱いてアピスト飼育を始める方は、始めは思うような結果の得られない現実とのギャップに苦労する方も少なくないと思います。

現在進行形で僕も悔しい思いを繰り返しています。

相手は生き物なので、願いや祈りなんてものは通用しません。

上手によい環境を提供してあげれば勝手に綺麗に育ちますし、下手な維持管理で悪い環境の中で飼育していれば、自分がどれだけ頑張っているつもりでも、だんだん弱って死んでしまいます。

よい環境とはどんな環境なのか?

それは、飼育している「魚を観察し聞く」ことで、自分の目で確かめてみてください。

アピスト飼育の諸先輩方からいろいろなコツや方針は教わることが出来ますが、それが正しいかどうかを自分で理解するには、言葉より目で見ることが大事です。

そして、自分で経験した失敗というのが最も身に付き理解できます。

飼育というものは単発の勝負ではなく、連続して継続していくものです。

理解の伴っていないノウハウでは、その重要性が分かっていないゆえにそのうち手を抜くようになります。

そして、いざ失敗に直面したときに何が悪かったのかが分からないので修正することが出来ません。

魚と日々会話し、必要以上に几帳面にはせず出来る限り手を抜いて毎日の世話の負担が軽くなるように。

しかし、必要なケアはたとえ疲れている日でもおろそかにしないことが飼育を長く最大限に楽しむコツだと思います。