低pH水槽 その1

pHを下げる方法として僕が知っているのはソイルを使う、ピートを使う、pHマイナスを使う、バクテリアの硝化作用を使うの4種類です。バクテリアの硝化作用でpHを下げるには結構なエサの量が必要で、それだけの排泄物(アンモニア)を処理できるバクテリアが必要になります。このバクテリアはNitrospiraとかNitrosomonasなどの硝化細菌なのですが、これらを培養することは大腸菌を培養するよりもずっと難しいことであります。

 人類が純粋培養できている細菌は地球上全体の約1 %と言われており、残りの99 %は純粋培養できていません。 沢山種類のいる硝化細菌のうち、純粋培養できたものは確か5種類ぐらいだったと思います。そのうちの一種を単離培養した時の話を授業で聴いたことがあり、その中でもアピスト飼育に生かせそうな内容を2つまとめておきます。詳しくは参考文献を参照ください。
・培養開始から半年は硝化細菌の増殖が確認できない。
・アンモニア濃度によって異種の硝化細菌が棲み分けを行っている。
 クマムシを思い浮かべてください。あれは生存に適さない環境になると休眠状態になり簡単なことでは死ななくなりますよね?ただし、休眠状態では増殖も行いません。硝化細菌もおそらく同じで、急な環境変化があると生き残る代わりに活動を止めているように見えます。この積極的な休眠が、わざわざバクテリア剤などを添加しなくてもやがて硝化細菌が定着する理由であり、添加しても効果の少ない理由だと考えます。硝化細菌はいたるところに分布して簡単に休眠状態にはいりますから、ある程度の量が死なずに空気中に含まれていることになります。また、多量の硝化細菌を水槽に導入しても環境変化で死ぬか休眠するかしてしまいます。
 活発な硝化細菌の適応能力は意外と低く、エサとなるアンモニアが多すぎるとその毒性で死んだり、アンモニアが少なすぎても餓死したり。自己の排泄物である亜硝酸、硝酸でpHが低下しても酵素が失活して死んだりします。この適応範囲の狭さによって硝化細菌群の棲み分けがされており、水槽内ではその水質に適した硝化細菌を定着させる必要があります。 
 今回は文章だらけになってしまいましたが、その2ではこの内容を踏まえながら現在自分がこれだと思っている水槽の立ち上げ方を実体験、写真と合わせて紹介しようと思います。
参考文献 
1) 藤谷 拓嗣, 常田 聡, 早稲田大学先進理工学部生命医科学科, Journal of
Environmental Biotechnology
(環境バイオテクノロジー学会誌) Vol. 14,
No. 2, 99–103, 2015, URL: 
https://www.jseb.jp/wordpress/wp-content/uploads/14-02-099.pdf

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